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保険

生命保険の営業は何で稼いでいるか
— 「見直し」を勧める構造的な理由

2026年3月30日

この記事でわかること

  • 保険外交員・代理店は初年度コミッション制。保険料の50〜90%が初年度に担当者に入る
  • 「見直し」= 新契約 = コミッションがリセットされ再発生
  • 医療保険・がん保険は手数料率が最も高い商品群
  • 提案内容を疑うのではなく、構造を知った上で比較する

「保険の見直しをしませんか」という連絡は、どこから来るのか。 担当者が変わるたびに「今の保険では不安です」と言われるのはなぜか。

これは担当者が悪意を持っているとは限らない。 ただ、保険業界の報酬構造が、そういう提案を生みやすくできている。

構造を知ると、提案を受けたときに何を確認すべきかが見えてくる。

コミッション(代理店手数料)の仕組み

保険外交員・乗合代理店は、保険会社から「コミッション(販売手数料)」を受け取る。 金額は「保険料 × 手数料率」で決まり、商品によって大きく異なる。

具体例:月払い3万円の医療保険を契約した場合

初年度コミッション(70%想定)約25万円
2年目以降(5%/年)約1.8万円/年
商品種類初年度継続年
終身保険50〜70%3〜7%
定期保険(10〜30年)40〜60%2〜5%
医療保険・がん保険60〜90%3〜8%
学資保険15〜30%1〜3%
個人年金保険20〜40%1〜3%

※ 手数料率は保険会社・代理店契約・販売実績によって異なる。公開義務はなく、外部から正確な数値は確認できない。

この構造が生み出すもの

「見直し」は新契約であり、コミッションがリセットされる

既存契約の継続コミッションは2〜8%程度。同じ保険料でも「新契約に切り替える」と初年度コミッション50〜90%が再発生する。担当者にとって「見直し」は収益機会だ。

高いコミッションの商品を勧めやすい構造になっている

医療保険・がん保険は手数料率が高く、担当者の成績に直結する。保障内容より手数料率で「お勧め商品」が決まる場合がある。「今イチオシの商品」が自分に必要とは限らない。

「無料相談」の収益源は成約手数料

相談窓口の運営費は顧客が払う相談料ではなく、成約した保険からのコミッションで賄われる。相談が無料でも、提案されたものを契約することで間接的に支払う構造になっている。

担当者交代時に「再見直し」が起きやすい

担当者が変わると、既存契約を解約して新しい契約に切り替えることを提案されるケースがある。契約の継続は前担当者のコミッションになるが、新契約は自分のコミッションになるため。

「無料相談」はなぜ無料か

保険ショップ・FP無料相談は、相談料を顧客から取らない代わりに、 契約成立時の代理店コミッションで運営している。

これ自体は悪い仕組みではないが、「無料だから中立」は正確ではない。 成約しなければ収益がゼロになる構造の中で、提案が行われている。

「中立」と「独立」は違う。乗合代理店は複数社を扱うが、どの会社の商品にもコミッションが存在する。 コミッション率の高い商品が選ばれやすい構造は残る。 「手数料を取らないFP(フィー・オンリー)」は完全に別の収益モデルを持つ。

構造を知った上での付き合い方

担当者を疑うよりも、確認すべきことを明確にする。

1

「なぜこの商品なのか」を聞く

「私の状況にこれが必要な理由」を数字で説明できない場合、手数料率で選ばれている可能性がある。

2

「見直し前後の保障比較表」を出させる

解約する保険と新しい保険の保障・保険料・解約返戻金を並べて比較。デメリットを口頭でなく書面で確認する。

3

複数の担当者・会社で比べる

同じ保障ニーズに対して複数の提案を並べると、商品選択基準が何かが見えやすくなる。

4

手数料に依存しないFPに相談する選択肢

独立系FP(フィー・オンリー)は成功報酬ではなく相談料で収益を得る。初回1〜3万円前後。保険を売ることが目的ではない。

「担当者が悪い」ではなく「構造がそうなっている」

コミッション制で働く担当者のすべてが不誠実なわけではない。 顧客に合った保険を真剣に考える担当者も多い。

ただ、報酬構造を知らずに「信頼している担当者が勧めるから」だけで判断すると、 自分のニーズより手数料率で選ばれた商品を買うことになりやすい。 構造を知った上で、比較と確認をする姿勢が自衛になる。

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